実は同じもの。 トリートメントとヘアパックの正しい使い分け方法

シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、ヘアマスク、アフタートリートメント……。

ヘアケア用品にはいろんな種類の製品がありますね。


美髪やヘアケアに意識の高い方なら、これらの製品のなかから自分の髪質や好みにあったものをチョイスして使っているはずでしょう。

でも、なかには目的や用途の違いがちょっとわかりにくいものもありますね。

たとえば、トリートメントとヘアパック……トリートメントは使う機会も多いのでなんとなくイメージできますが、ヘアパックとは役割が似ていて、「どんなときに使い分けたらいいの?」「そもそも使い分けが必要なの?」などと戸惑ってしまうこともあるでしょう。


そこで、トリートメントとヘアパックとの違いについて紹介していきましょう。

トリートメントの目的と役割


トリートメントとは、シャンプーでしっかり汚れを落として「スッピンになった」状態の髪に対して、ケア成分を補うことを目的としたものです。

髪を肌に例えるなら、シャンプーは洗顔料に、そしてトリートメントは美容液に相当するでしょう。


ただし、肌の細胞と異なり髪の細胞は角化(活動を停止)しています。

このため、細胞が生きている肌には外側から栄養を与える必要はないのですが、髪の場合はダメージを進行させないように、そして修復させるためにトリートメントで外側から必要な成分を与えることが大切になります。


ここが美容液とトリートメントとの違う点です。トリートメントは髪に適度な潤いと脂分を補うだけでなく、シャンプーで開いたキューティクルの間から髪の内側の奥深くまで浸透し、傷んだ髪を補修する役割をもっています。


トリートメントとヘアパックは同じもの?


では、一方ヘアパックの目的と役割とはどのようなものでしょうか。

それは「髪に栄養を与え、髪を補修すること」。

えっ? それって、トリートメントとどこが違うの?


実はトリートメントとヘアパックは、メーカーによって名称が違うだけで、目的や役割はほぼ同じヘアケア用品なのです。

もちろんメーカーや製品によって配合される成分や肌ざわりなどは違いますが、それはトリートメントだけを見ても同じことです。つまり、ヘアパックは「トリートメントの別名」と考えておけばいいということになります。


ちなみに、「ヘアマスク」と呼ばれる製品もヘアパック同様、トリートメントの一種と考えて問題ありません。

もっとも、成分や濃度には若干の違いがあり、髪の毛全体を補修するというよりは、特に傷みのひどい部分を集中的にケアする目的で開発されたものが多いようです。

美容師さんのなかには「髪全体をトリートメントでケアしたあと、特に傷んでいる部分があればさらにヘアパック/ヘアマスクを使う」という人もいます。


ヘアパックとは本来、ヘアケア施術の一種


今日では「ヘアパック」とはヘアケア用品のひとつだと認識している人が多いと思いますが、本来のヘアパックとは用品のことではなく、「トリートメントを髪全体に広げ、蒸しタオルで髪をくるんで温度と湿度を保ちながら30分ほどしっかりと浸透させる」という施術の名前です。

ですから、もちろん「トリートメントでヘアパックをする」ことも可能なのです。


ひょっとしたら、「ヘアパック施術に適したトリートメント」というコンセプトで開発したトリートメントに対して、どこかのメーカーが「ヘアパック」と製品名にしたのが始まりなのかもしれません。


ヘアパックはトリートメントよりも強力???


ヘアパックやヘアマスクには、一般的なトリートメントよりも「栄養補給力やダメージ補修力が高い」ことをうたっている製品があります。

また、「毎日使うならトリートメントで、特に髪の傷みがはげしい人は週に1~2回ヘアパック/ヘアマスクを使う」という美容師さんや美容研究家の方もいらっしゃいます。


しかし、先ほど書いたように、トリートメントとヘアパック/ヘアマスクには基本的な違いはなく、違いは各メーカーの製品コンセプトにあります。

ですから、「トリートメントよりもヘアパックのほうがトリートメント効果は高い」とか、「ヘアパックなのでトリートメントよりも栄養補給力やダメージ補修力が高い」といったセールストークは、そのまま信じないほうがいいと思います。


「効果が高い → なぜ?」の気持ちを持って


シャンプーでもそうですが、ヘアケア用品全般(もちろんコスメやスキンケア用品も含む)にいえるのは、「効果が高い」という言葉には十分注意が必要だということです。

もちろん、ほんとうに優れた成分を含んでいたり、特別な製法で作られていたりという理由で「効果が高い」という製品もあります。

しかし、たとえば合成界面活性剤やノンシリコーンの記事でご紹介したように、「効果が高いかわりに髪・肌への刺激も強い」「一時的に効果が感じられるが、長い目でみると体への負担が大きい」といった成分を含んだ製品が多いのも事実なのです。


トリートメントやヘアパックを選ぶときには、効果の高さ(あるいは強さ)をうたう商品を選ぶのではなく、「なぜこの製品は効果が高いのだろう?」という疑問を持って、成分や成分の由来をチェックし、「なるほど、この製品なら安心。納得して買える」というものを選んでいただければと思います。